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Language   Japanese / English

活動目的・スポンサー募集 MISSION  ~水墨画を現行の日本伝統文化として再確立し未来に発展させる~

 現在の日本では水墨画の技術・感性が著しく低下しており、プロフェッショナルと呼ぶにふさわしいレベルの画家及び教育者が殆どいないため、適切な指導者のもと水墨画のプロを目指して学びに没頭できる場所がないように思います。私は師事したい水墨画家を東京近郊で10年近く見つけられませんでした。東京で習ってみたものの、趣味の範囲から一歩出るには、突然中国へ留学するほかにありませんでした。そこに階段はなく、一人気球に飛び乗ったような気分でした。中国発祥とはいえ、日本に於いても歴史の長きに渡り素晴らしい伝統のひとつといえる水墨画界の現状に残念な思いと危機感を感じ、現行の伝統絵画として確立するための大々的な構築が必要と実感しています。

 なぜなら明治維新以降洋画が普及し、日本画が生まれ、水墨画は下火になってゆきました。その結果現在では、若者からプロを育て上げる教育環境が存在しないことが根本的な問題です。美大に水墨画の専攻もないため、レベルの高い美術大学内もしくは研究機関として、水墨画家を育成する環境を整えることが私の活動目的です。そこから名実ともにプロの水墨画家が生まれ、日本の現行の伝統絵画として再生させ未来に繋いでゆきたい。

 私が水墨画教室に通った際には学びに意欲的な若年層も多く、また私が教えた際には高齢者層は懐かしい墨と筆に癒され、先入観のない子供たちは意外にも墨と紙が水とともに織りなす効果や大胆さを純粋に楽しんでいました。民間では水墨画への興味は他の芸術同様にあり、現状、日本における教育環境が歴史的に失われてしまったことが問題なんだと思います。私の生きているうちにできるかわかりませんが、プロ育成・画界の再建に並行して、ゆくゆくは書道のように全国の小学校でも授業に組み込まれるようになり、教室もたくさんできて子供からお年寄りまで誰もがシンプルな道具で楽しめるユニバーサルな「生きた伝統」になることが目標です。

 ですが、教育環境改善を現在日本人が高いレベルで実現することは難しい状況であり、本場中国の美術大学で正しい教育を受け、教育と技術を日本に持ち帰ることが必須となります。その技術と知識に日本人の感性を組み合わせて日本の伝統文化としての水墨画を再確立していく所存です。中国人画家を講師として招く機会もあるかと思いますが、中国画を教育するのではなくあくまで「日本の水墨画」を確立するため、日本人が指揮を執る必要があります。中国に住み現状を知る者として、概念的感性の違いや文化の流れの違い、歴史的に水墨画が両国で発展した形態や特徴の違いを、実感しているからです。また、中国美術学院(水墨画を含む中国画、書道の伝統教育では中国一の国立美術大学であり、著名中国画家を多く輩出している)との文化交流を継続することで、日中友好にも貢献できればと思います。

 海外在住の経験から日本人の真面目な性質をみると、教育の場が整えば加速度的に高いレベルへと水墨画というジャンルを押し上げていけるように感じます。またその過程で画家が増えてくれば、海外諸国へ日本の水墨画文化をアピールし続けることでファンをつくり、海外からのニーズを呼び込む形での日本文化全体の活性化や、それに伴った経済効果を生み出すことでも日本へ貢献していけると確信しています。

 この水墨画文化再建を実現するために、現在は研究と制作に打ち込み、教育に力を注ぎ始めております。ゆくゆくは日本の伝統文化といえる水墨画の再生という動きになっていけるよう、問題意識を理解し資金援助・制作依頼等を通して応援していただける機関等を探しております。また、美術関係者様等で共感いただきご協力いただける方、一緒にこの問題に取り組んでゆきたい方等のご連絡もお待ちしております。どうぞよろしくお願い申し上げます。

2014年夏 麻貴

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